能登高留学

留学コラム

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2022.03/29 インタビュー

留学生インタビュー【3】能登での日々:地域とのつながり編

能登での一年を振り返って、楽しそうに話をする高砂くん。

「地域みらい留学365」を利用して、香川県高松市から能登高校にやってきた高砂信章さん。ママチャリでの衝撃の登場から早一年、めくるめく能登高留学生活にも締めくくりの日が近づいてきました。

学校生活でのできごとに続いては、能登町という地域とのかかわりについても話してくれました。

 

国語の授業から、能登町横断サンショウウオ探しの旅へ

学校や寮での生活以外にも、能登町らしさを体験しにいろいろなところへ出かけていましたよね。そのなかで印象に残ってることはありますか?

ホクリクサンショウウオを探しに行ったことです。

 

海や魚だけじゃなくて両生類も好きだったんですか?

あ、それは、国語の授業で井伏鱒二の「山椒魚」を読んでいたときに、先生がふと「能登町にもホクリクサンショウウオっていうサンショウウオがいるらしい」ってつぶやいたんですよね。

僕、教科書読みながら半分眠くなってたんですけど、それ聞いてハッ!て目が覚めて。そのあとホクリクサンショウウオって見られますかって綱屋さん(※能登高留学を担当する町職員)に話したら、「よし、探しに行こう」ということになっていきました。

 

話のスピード感がすごいんだけど、何か飛ばしてない?

飛ばしてないです。もうほんとに、「見たいです」「よし行こう」で連れて行ってもらいました。

 

国語の教科書がきっかけで先生が話してくれたものをすぐ探しに行けるなんて、すごく恵まれた環境がそばにあったということですね。
それで、ホクリクサンショウウオには出会えましたか?

いや、全然!

アカハライモリとか、クロサンショウウオの卵は見つかったんですけど、ホクリクサンショウウオは見つかりませんでした。でもなんか途中からその見つからなさがおもしろくなってきてました。ほんとに能登町じゅう探し回ったんで。

(綱屋さんによると、地元で自然観察をされている方にヒアリングしながら、柳田、内浦、鵜川、能都、瑞穂と能登町のあちこちの地区を回ったそうです)

ホクリクサンショウウオ捜索中、ドブガイを発見

 

初めての気持ちを能登で見つけた

能登町での体験といえば、夏休みには魚屋さんでアルバイトもしたんですよね。

はい。宇出津の下平鮮魚店さんで、魚の下処理をやらせてもらったり、移動販売車にいっしょに乗って刺身や総菜の販売に行ったりしました。

下平真澄さんといっしょに移動販売車で能登町内の山間地域を回った

どんなところが印象に残っていますか?

全部、学校では学べないことだと思いました。

たとえば、高校の水産の授業でも魚のさばき方や調理を習うけど、みんなで同じ魚、同じ料理を習う。でも魚屋さんではその日の仕入れに合わせて、やる仕事が変わります。魚によって違う処理の仕方を教えてもらったり、エビをいっぱいむき続けた日もありました。

あと、でかいスズキを仕入れていた日は衝撃だった!大きなスズキを生かしたまま生け簀に入れてたのもびっくりしました。

 

移動販売はどうでしたか?

お店で作った総菜や刺身を移動販売車に乗せて能登町の山間地域に届けに行くっていうこと自体も、そういうふうにやってるんだって勉強になりました。

それに、行った地域のじいちゃんばあちゃんたちが刺身を買うために集まってきて、楽しそうにおしゃべりする場になってたんですよね。「誰かの生活の支えになってる」というのをじかに見た気がして、そういう気持ちになったのは初めてでした。

 

地域のつながりが目に見えたように感じたんですね。他に、初めて感じた気持ちや初めて見たものって能登に来てからありましたか?

あばれ祭りのたいまつに感動しました。

最初は、ほんとの祭りが中止になって、キリコの練り歩きとかないし残念だなって思ってたんですけど(※この年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため本祭は中止となり、地元有志によるキリコ展示と太鼓演奏、たいまつ奉納が行われました)、でも行ってみたら、たいまつが燃えてて、周りでかけ声上げてる大人たちがアツくて。

僕、それまで花火が上がって屋台が並ぶようなお祭りしか見たことがなかったんで。伝統ってすごい、絶対ほんとの祭り見に来ようって思いました。

 

実はそのときわたしいっしょにいたけど、泣いてたよね。あの光景見て。

・・・へへっ(照れ笑い)。なんかとにかくアツくて。たいまつも人も。とにかく感動したんです。

地元の有志が奉納したたいまつ(高砂くん撮影)

 

2つの高校で自分の中に見えた価値観

能登で身につけたことで、高松に戻ってもやってみたいことはありますか?

釣りです。能登ではいっしょに釣りに行ける友達が4人くらいいて、行こうぜってなったら簡単に釣りに行けて、新しい釣り方も覚えました。

高松では、中学までいっしょに釣りしてた友達と高校が分かれてから全然やってなかったんですけど、能登で覚えた釣り方を高松でも試してみたいです。

 

大学に進学して海のことをさらに学びたいという目標に変化はありましたか?

それ自体は変わってないです。

能登町にある金沢大学の能登海洋水産センターや臨海実験施設を見学させてもらったり、大学の先生から研究内容を教えてもらったりしたのと、あと父も大学情報を集めてくれていて、志望校を検討しています。

「地域みらい留学365」のことも見つけてきてくれたし、お父さんは本当にいろいろアンテナ高く調べてくれますね。

はい。親元離れると親のありがたみがわかるよっていうのをいろんな人から言われてきたんですけど、それはほんと意味わかりました。

こっち来てから、もらってばっかりです。情報も、お金ももちろんそうだし。

あと、お父さんの料理はおいしいってことも。

 

高松に帰ったとき、みんなに能登のことをどんなふうに話したいですか?

自然が豊かなことはもちろんだし、人どうしのつながりの親しさも話したい。あと、あばれ祭りで感動したことも伝えたいです。

能登に来てから強く思うようになったことがあって。

僕は能登高校で過ごしてみてこの学校好きなんですけど、能登高の友達の中には「当然、高松の高校の方がいいやろ?」って聞いてくる子もいます。でも、高松にいたときも「この高校はイヤ、あっちの高校の方がよかった」って話してる子がいたなーって思い出して。

能登にしても高松にしても、嫌なところとかできないことはなにかしらあって、それならマイナス面ばっかり見て嫌になっていくより、いいものとか楽しいこと見つけて好きになっていく方がいいなって。そのことは、2つの高校に通ったことでより強く思うようになりました。

高砂くんのベストショット。夕暮れ時の能登高校前の海

 

能登高校で海や水産の学びを深めただけでなく、能登町の暮らしの中で初めての気持ちに気付いたり、自分の価値観の輪郭がはっきり捉えられるようにもなった高砂くん。

2022年4月からは高松に戻り、3年生として元の高校の同級生たちと合流します。

 

もう高松に戻る段取りは決まってますか?

いや、全然…。

 

えっ?もう修了式間近だけど…。あ、帰りもママチャリで帰るんでしょう(笑)。

いや自転車では絶対帰らないです。しんどすぎる。

 

そうしたら、お父さんが迎えにいらっしゃるのかな。

…と、信じてるんですけど…。

 

信じてる…?

・・・。

…あ、連絡取ります。

 

 

4月からは高松に戻り、3年生として元の高校の同級生たちと合流している…はずです!

高砂くんの未来も、能登からみんなで応援しています。

 

 

取材・文/能丸恵理子

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